鉄筋工事会社のM&Aでは、会社の株主が変わるのか、別法人へ事業を移すのかを最初に分けます。許可通知書が手元にあっても、社長の退任や技術者の異動後に同じ体制で受注できるとは限りません。本記事では、契約前に許可行政庁と確認する事項を絞って整理します。
編集:鉄筋工事M&A総合センター編集部/内容確認:2026年9月7日
株式譲渡と事業譲渡で、確認の出発点が違う
株式譲渡では許可を持つ法人自体は存続します。ただし、役員・営業所・許可要件を支える人員の変更は別に確認します。事業譲渡・合併・会社分割では、事前認可による建設業者としての地位の承継を検討します。制度があることと、個別案件で認可されることは別です。国土交通省は事前認可による承継の仕組みを案内しています。
| 手法 | 最初に確かめること | 契約・日程への反映 |
|---|---|---|
| 株式譲渡 | 許可法人の存続、退任・異動する人、変更届の対象 | 新旧役員と技術者の在籍・配置を実行日で照合 |
| 事業譲渡 | 譲渡対象となる建設業と認可制度の適用可否 | 認可、契約移転同意、効力発生日を整合 |
| 合併・会社分割 | 消滅・存続する法人と承継する事業・許可 | 登記・認可・重要契約を同じ工程表で管理 |
たとえば鉄筋工事業と他業種の許可を持つ会社から鉄筋部門だけを切り出す場合、譲渡対象だけを見て「許可も一緒に移せる」と決めないでください。承継できる範囲には制度上の制約があります。近畿地方整備局の認可申請手引きは手続きの参考になりますが、窓口・提出時期・必要書類は自社の所管行政庁で確認します。
営業所技術者等と現場の技術者を分けて整理する
営業所技術者等は、営業所で行う見積・入札・契約などの技術面を支える人員です。主任技術者・監理技術者等は工事現場の技術上の管理を担います。同じ資格者一覧だけで両方の配置を説明しないことが大切です。営業所ごとの許可業種と担当者は、国土交通省「許可の要件」に照らして確認します。
- 営業所側:対象業種、資格・実務経験の根拠、常勤性、所属、退任・異動予定。
- 現場側:工事名、契約主体、工期、配置者、資格、専任・兼務の扱い。
- 経営管理側:適正な経営管理体制を支える役員等と、退任後の後任体制。
一定の要件下で兼務できる制度がありますが、資格があることだけを根拠に兼務を決めることはできません。専任義務の合理化・営業所技術者等の職務の特例の条件を、現場ごとに確認します。職長の経験やCCUS登録だけで、必要な技術者要件を満たすと判断しないでください。
行政庁へ相談する前にそろえる6点
| 確認資料 | 見る箇所 | 不明な場合の対応 |
|---|---|---|
| 許可通知書・更新履歴 | 許可番号、一般・特定、業種、更新期限 | 最新通知と提出控えを照合 |
| 営業所一覧 | 所在地、取り扱う業種、継続・廃止予定 | 譲渡後の拠点案も用意 |
| 役員・管理体制表 | 退任者、後任、就任日、経験の証拠 | 空白が生じる期間を特定 |
| 技術者一覧 | 資格、雇用、営業所・現場の配置 | 本人の在籍予定と代替者を確認 |
| 進行中工事一覧 | 元請、工期、出来高、契約、配置者 | 実行日をまたぐ現場に印を付ける |
| M&Aの計画 | 株式か事業か、対象範囲、希望実行日 | 未確定事項を明記して相談 |
許可・元請契約・公共工事の手続きを一本化しない
許可の承継が認められても、元請契約の移転同意、経営事項審査、入札参加資格、金融機関の保証解除まで自動的に完了するわけではありません。「行政庁」「発注者・元請」「金融機関・契約先」ごとに確認先を分けます。継続中現場は、誰が施工・請求・補修を担当するかを工事単位で決めます。
- スキーム検討時に、対象許可・人員・継続工事を一覧化する。
- 所管行政庁へ適用可否と必要手続を相談し、回答日と前提条件を記録する。
- 最終契約の実行条件に、必要な認可・同意・後任配置を反映する。
- 実行前に受理・認可・同意等の証拠と最新の在籍状況を照合する。
- 実行後の変更届・現場の登録更新などを担当者と期限付きで管理する。
申請の処理期間は案件と行政庁で変わります。「最短○日で必ず承継できる」という前提で実行日を約束せず、補正や追加資料に対応できる日程を組みます。
よくある確認事項
社長がすぐに退任しても大丈夫ですか。
社長が経営管理体制や技術者要件の一部を担っている場合は、後任と証明資料の確認が先です。株式の移転日だけで退任時期を決めず、許可要件・営業・現場の役割を分解します。
買い手グループに有資格者がいれば足りますか。
資格の種類だけでなく、許可業種、雇用・所属、常勤性、配置先、兼務条件を確認します。別法人に在籍する有資格者を、そのまま自社の要件を満たす人員として数えないでください。
まだ売却を決めていない場合は何から始めますか。
許可・更新期限、社長の役割、営業所と現場の技術者、実行日をまたぐ工事を整理します。譲渡準備の資料チェックリストもご利用ください。
出典と編集方針
制度の記述は本文中の国土交通省・地方整備局の一次資料を参照しています。表と進め方は当編集部がM&A検討用に整理したもので、申請様式や認可判断そのものではありません。法務・許認可の個別判断は所管行政庁と専門家へ確認してください。
会社売却の全体ガイド/職人・元請の引き継ぎ準備/実務コラム一覧
許可と人員の整理から相談できます
許可通知書や配置表が整理途中でも、何を確認するかから一緒に進めます。譲渡企業様の当センターへの仲介手数料は成功報酬まで0円です。外部専門家費用・公租公課等は別途確認します。
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